フランスワイン買い付け訪問記 No.6 レパートリー豊かなワインが生み出されるジュラ地方へ
さて、今週はブルゴーニュを後にし、4日目となるジュラ地方の買い付けです。
今回訪問したブルゴーニュ、シャンパーニュ地方に比べ、ジュラのワインは経験値が少なかったので、出張で訪問すると決まってから、家飲みワインやレストランでジュラワインがあれば積極的に購入・注文して経験値を高めていきました(笑)。恐らく国内で出回っている有名ドメーヌは大体網羅できたのではないでしょうか。
今回の出張を振り返って思った、ジュラ地方買い付けの大変な点は、そのレパートリーの多さ。
クリーンなタイプのスティルワイン赤白から、この地方の代表的なワインである、産膜酵母と長期間接触させて造るヴァン・ジョーヌに、その規定よりも早く引き上げたいわゆるセミ・ヴァン・ジョーヌ。さらにクレマン・ド・ジュラ、酒精強化の甘口など、ジュラのワインはとにかくそのレパートリーが多く、1件ごとのテイスティングが毎度ヘビーでした。。
早朝に出発し、ボーヌから順調に約1時間半で到着した1件目は、南部サン・ターニュ村でウィッキー夫婦が切り盛りする非常に小さな蔵元、ドメーヌ・ウィッキー。
有機栽培で酸化防止剤などもほとんど使用しない、いわゆる自然派の蔵元です。
終始陽気な当主のジルさんと、途中から奥様のクリステルさんも加わり、非常に温かく迎え入れてくれました。彼らの生み出すワインはどれもその人柄を投影したような、柔らかく温かみのある味わい。特にガメイ、トゥルソー、プールサールで仕込まれる赤は、3品種の個性が要所にしっかりと感じられるピュアでエキス分の高い味わいが好印象でした!
ほんのりフロールの風味のある地葡萄サヴァニャンも魅力的!
お昼ごはんまでお誘いいただきましたが、すぐに次の蔵のアポイントがあったので無念の断念。
後ろ髪をひかれながら向かった2件目は、出張前に既にそのポテンシャルの高さに驚かされたこちらの蔵元。
地質学者であり、かつてロワール等でビオディナミのコンサルとして活躍していたクロッセ夫婦が運営するシャン・ディヴァン。そのうちに自分たち自身でもビオディナミによるワイン造りを行いたいと考え、理想の土地を追い求めた結果、このジュラの地にたどり着いたそうです。
この日は奥様のヴァレリーさんが対応してくれました。学者らしい知的な印象で、彼らのワインはもちろん、周辺の土壌の話やジュラ特有の地葡萄についても詳しく説明してくれました。
この蔵のワインはジュラのワインとは思えぬほど色気が強いのが特徴的。ジュラらしい冷涼感のある酸とミネラル感がありながら、密度の高いエキス分たっぷりの果実味が口いっぱいに広がるレベルの高い味わいです。
写真の新作トゥルソーも非常に印象が良く、ぜひ欲しかったのですが、こちらは既に完売とのこと。次回は絶対下さい!と、熱くお願いしておきました(笑)。
ジュラの蔵元はどこもテイスティングのワインとともにコンテチーズを提供してくれます。これと合わせずにどうするんだ!と言わんばかりにたくさんカットしてくれるので、この日は極軽めのお昼ごはんに。
そしてこの日最後の訪問となったのは、ジュラ地方全域に畑を所有するドメーヌ・サント・マリー。前の2件と比べると非常に大きな蔵元で、広域に畑を所有しているということもあり、かなり多くのキュヴェを生産していました。
管理の行き届いたクリーンな醸造施設で、リリースするキュヴェのレパートリーも豊か。また、今回のジュラ訪問で気が付いたのは、近年のヴァン・ジョーヌはよりエレガントなスタイルへと変化している点。
今回訪問した蔵は特に、かつてのフロールや酸化のニュアンスが強いスタイルではなく、非常に品のあるきれいなフロール香のあるスタイルとなっていました。
蔵の訪問が終わり、ジュラに来たならばここに来なくては!ということで、念願のシャトー・シャロンへ。しかしこの日は一日中曇天ということもあり、濃霧が立ち上り、なかなかきれいに景色をみることができず。。
しかし実際に斜面に広がる畑や著名なドメーヌもしっかり見ることができたので、今回はこれで良しとしましょう。今度はぜひ晴れてきれいな景色を見にいきたい思いました。
日も暮れ、この日の夕食はかつて宿泊先のアルボワにある、最近多くの専門誌などにも取りあげられているLE BISTRONOMEへ。バロティーヌ仕立てで出てきたジュラ名産のブレス鶏のきめ細かい繊維の柔らかい身質は美味でした。
こちらではティソのヴァン・ジョーヌをいただき、まさに王道のペアリングを堪能できました!
無事土曜の買い付けが終了し、ジュラ滞在が1日だけというのが悔やまれる実りある1日でした。
次回は日曜の移動日でシャンパーニュへ向かいます。あの憧れの蔵元のジットに宿泊することができました!
それではまた来週。A Bientot!