ドイツワイン王子 山野高弘さんと歩くドイツワインの世界

ゲオルグ・ブロイヤー

甘口ワインの印象が未だに根強いドイツワインですが、実際には赤・白を問わず多種多様なワインが数多く生み出されている世界でも有数のワイン産地です。冷涼な地域から生み出されるワインは伸びやかな酸が心地よく、キレがあり、どこかブルゴーニュワインを彷彿とさせる繊細で優雅な味わいは多くのワインラバーをから愛されています。

当連載は、そんなドイツワインの魅力をヘレンベルガー・ホーフ社の山野高弘さんと一緒に掘り下げていく特別企画です。注目を集める生産者に焦点を当て、その魅力をお伝えしていきます。

第2回目はゲオルグ・ブロイヤー。山野氏が2003年4月から11月まで働いていた醸造所であるため、思い入れたっぷりに語って頂きました。

ブロイヤー醸造所とは

Georg Breuer

ブロイヤー醸造所のあるラインガウ地域はドイツのワイン産地のわずか3%しかない小産地ですが、間違いなくドイツワインの中心です。伝統を重んじながらもリースリング種を単一で栽培醸造したり、遅摘みをして甘口ワインを造ったりと革新的なことにも取り組んでいます。 なんといっても特徴的なのは栽培面積の約80%がリースリングであること。地域を通りこして世界にその名をはせるラインガウ地域のリースリング、その頂点がゲオルグ・ブロイヤーです。 

リースリング・ルネッサンスの立役者

The architect of the revolution

写真のベルンハルト・ブロイヤーさんは醸造所の3代目にあたります。創業当初はワインの樽買い等を生業にしていましたが、ベルンハルトさんの代に現在の自家栽培自家瓶詰の形とし、名声が一気に高まりました。 

まだ80年代で、甘口ドイツワインが世界を席巻していたころ、「辛口の食中酒」「伝統品種の尊重」「畑の選別」という現代の高品質なワインを造る生産者ならば当たり前のことを敢然と一人打ち出したのがベルンハルトさんでした。まだ30代前半の若手醸造家に過ぎなかった彼への反発もありましたが、わき目も降らず世界基準の辛口リースリングを世に送り出し、北欧や北米で起こった2000年代のリースリング・ルネッサンスの立役者となりました。

品質にこだわるあまり、他の生産者との衝突も多く、ドイツの優良生産者200社ほどが集うVDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)においてもラインガウ地域の長でありながら脱退し、己が道を突き進んだベルンハルトさん。

私が醸造所で働かしていただいていたのはちょうどその全盛期ともいえる時期でした。身長は160㎝台の小柄な方でしたが鷹のような鋭い眼光と凛としたたたずまいが印象的でした。掛け値なしにかっこいい生産者でした。。残念ながら私が働いていた2003年の翌年2004年5月に57歳の若さで他界されています。世界中のワイン業界を驚かせたニュースでしたが、現在は当時19歳だった次女のテレーザ ブロイヤーさんが立派に醸造所を引き継いでいます。 

造り手の想い

Thoughts of the winery

熱吸収効率のよい環境で育まれる高品質なぶどう

醸造所はラインガウの最西端リューデスハイムに位置します。ラインガウはライン川沿いで唯一南向け斜面が東西30キロにわたって続く産地ですが、実は東側の斜面はそれほど急ではありません。このリューデスハイムの村以西の斜面のみ崖のような急斜面が広がっています。寒暖差のある気候、熱吸収率の高い赤土が混じった土壌と急斜面の立地、粘板岩や石英を多く含む土壌が、酸と果実味とミネラルのすべてに好影響を与えています。

次世代が手掛ける正統派の辛口リースリング

温暖化が続くヨーロッパの中でドイツも例外ではありませんが、次女であるテレーザ ブロイヤーの代になってからアルコール度数も少し控えめでより繊細ながらも芯がしっかりとしたリースリングが生み出されています。 エレガントなのに複雑実があり余韻が長い。ラインガウの正統派辛口リースリングをどうぞご堪能くださいませ。 

山野高弘さんおすすめワイン

Recommended by Yamano

ラインガウの盟主ゲオルグ・ブロイヤー このクラスも流石です…!

SAUVAGE RIESLING 2021 GEORG BREUER

ソヴァージュ リースリング 2021 ゲオルグ・ブロイヤー

辛口リースリングの代名詞、ブロイヤー醸造所の名刺代わりがこのワインです。フランス語で野生を意味しています。英語でいうとワイルドですね。荒々しい酸とミネラルがかみついてくるようなワインで彼らの持っているラインガウ地域西から東の全域のリースリングが使用されています。亡くなられた先代のベルンハルト ブロイヤーさんは世界中を巡り研鑽を重ねたウィットにとんだ方で、リースリングを独自の4つのカテゴリーに分け、別の言語で表現しています。

一番上のクラスはグランクリュの名前入り、つまりドイツ語で表記、セカンドワインにはテラ・モントーサというラテン語(急斜面という意味)、村名入りには英語であるエステートと名付け、一番下にはフランス語で名付けています。フランスへの並々ならぬ対抗意識と皮肉がうかがえる彼らしいエピソードです。 

会員価格 3,553円(税込)

希望小売価格 3,740円(税込)

生産国ドイツ / ラインガウ
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ゲオルグ・ブロイヤー

爽快感溢れる味わいが直線的に伸びる絶品リースリング

ESTATE RAUENTHAL RIESLING 2021 GEORG BREUER

エステート ラウエンタール リースリング 2021 ゲオルグ・ブロイヤー

何を隠そう私が世界で一番好きなワイン、それがこのワインです!リューデスハイムから東に15キロほど行ったところにあるラインガウ東部のラウエンタール村に1990年からブロイヤー醸造所は畑を持っています。ブルゴーニュ地方などと同様、なかなかまとまった土地の譲り渡しがないラインガウ地方でしたが、とある醸造所からのオファーに飛びついたのがブロイヤーさんでした。

ライン川から少し離れたタウヌスの森の麓に位置し、畑は南西向けの斜面です。朝日を浴びますが、夕日を浴びることがなく、寒暖差がしっかりと畑に現れます。針細工のように切れ味するどい酸と表土がほどよくあることからくる果実感。この二つの絶妙なバランスが楽しめる逸品です。 

会員価格 4,703円(税込)

希望小売価格 4,950円(税込)

生産国ドイツ / ラインガウ
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ゲオルグ・ブロイヤー

飲み頃を迎えた希少な特級リースリング、豊かな味わいをお楽しみください

RÜDESHEIM BERG ROTTLAND RIESLING 2015 GEORG BREUER

リューデスハイム ベルク・ロットラント リースリング 2015 ゲオルグ・ブロイヤー

リューデスハイムには世界に誇る3つのグランクリュがあります。敬意をこめて三山と呼ばれています。ドイツの畑では珍しく畑名の頭にベルク(山の意)を関している3つの畑。街から最も離れたお城沿いの急斜面ベルク・シュロスベルク。最も標高の高い位置にあるベルク・ローゼンエック。ベルク・ロットランドは最も街に近くライン川に直面している斜面です。

ところどころ鉄分を多く含む土壌であることから赤みを帯びた土壌で、ラインガウの最西端であるリューデスハイムの街に隣接しているのがこのグランクリュ、ベルク・ロットランドです。暖色でもあること、川に直面している斜面であることから川面からの照り返しも受けて少しトロピカルな南国の風味を感じるようなボリュームのある味わい。もっとも肉厚で贅沢感満載のグランクリュです。10年近く熟成していますので今まさに飲み頃を迎えています。 

会員価格 9,405円(税込)

希望小売価格 9,900円(税込)

生産国ドイツ / ラインガウ
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ゲオルグ・ブロイヤー

12年もの瓶熟を施した極上ゼクト

BREUER SEKT BRUT 2008 GEORG BREUER

ブロイヤー ゼクト ブリュット 2008 ゲオルグ・ブロイヤー

ドイツの中でも屈指のワイン産地として知られる聖地ラインガウ。ゲオルグ・ブロイヤーは、そのラインガウの中でも最高峰に位置づけられる蔵元で、かつて世界で最も高価なワインとして知られていたこの地域のワインを、復権させた立役者として知られています。このゼクトは、ピノ・ノワール、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、リースリングの4品種を用い、澱とともになんと12年もの瓶熟を施してリリースされるもの。穏やかな香ばしさを帯びたふくよかでフルーティな果実味と旨味が、上品なミネラルや酸味と溶け合って広がる複雑な味わいは、さすがという他ないでしょう。

会員価格 9,405円(税込)

希望小売価格 9,900円(税込)

生産国ドイツ / ラインガウ
ワインタイプ発泡性(白)
ぶどう品種ピノ・ノワール,ピノ・ブラン,ピノ・グリ,リースリング
生産者ゲオルグ・ブロイヤー

これぞ辛口リースリングの最高峰!圧巻の特級ワイン

RAUENTHAL NONNENBERG RIESLING 2019 GEORG BREUER

ラウエンタール ノンネンベルク リースリング 2019 ゲオルグ・ブロイヤー

ドイツの中でも屈指のワイン産地として知られる聖地ラインガウ。ゲオルグ・ブロイヤーは、そのラインガウの中でも最高峰に位置づけられる蔵元で、かつて世界で最も高価なワインとして知られていたこの地域のワインを、復権させた立役者として知られています。ノンネンベルクはゲオルグ・ブロイヤーや所有する4つの特級畑のうちの一つで、ラインガウ東方の南東向きの斜面に位置し、樹齢50年前後の古木が植えられている区画。極限までに収量を制限したブドウを用い、1200リットルの大樽で発酵・熟成させています。様々なフルーツの爽やかさや、石灰や塩味のミネラル、この蔵元のワインならではの直線的な酸味などが混然一体となって滋味深い味わいを感じさせる、まさに辛口リースリングの最高峰と言っても過言ではない傑作ワインです。

会員価格 10,450円(税込)

希望小売価格 12,100円(税込)

生産国ドイツ / ラインガウ
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ゲオルグ・ブロイヤー

山野高弘さんがおすすめする、ゲオルグ・ブロイヤー

本記事でご案内中のゲオルグ・ブロイヤーは、YEBISU WINEMART ONLINEでお取り扱いしております。
ご興味がございましたら是非お試しください。

山野高弘 ヘレンベルガー・ホーフ代表取締役

Yamano Takahiro

ワインインポーター ヘレンベルガー・ホーフ(株) 代表取締役社長。2001年より2年間ドイツ バーデンのベルンハルト・フーバー醸造所にて研修。主に畑作業に従事。2003年より1年間ドイツ ラインガウ地域のゲオルグ・ブロイヤー醸造所にて研修。醸造行程の全てをその手で行う一方、醸造所の営業マンとしてドイツのホテル等にてプレゼンテーション。ヨーロッパ滞在中にはドイツのほぼ全生産地を渡りあるき、見分を広める。ドイツ以外のフランス、イタリア等、西ヨーロッパのワイナリーも積極的に訪門。2004年より帰国。主に東京にてドイツワインの新しいイメージ普及のため、様々なシーンでセミナー等を行う。

世界最優秀ソムリエでM.o.W.であるマルクス・デル・モネゴ氏や 来日中のドイツ醸造家の通訳を務める。現在も年に3回ほどはドイツを中心にヨーロッパを訪れ、最新情報を入手。世界的には現在非常に人気のあるドイツワイン。その新しいスタイルとイメージをどんどん日本に紹介していきたい!!その一心で毎日活動しています。

2019年に「ドイツワイン通信講座」出版。
2020年3月よりYoutube「ドイツワイン最高!」を火曜日金曜日17時配信。
インスタグラムによる生産者とのライブ「ヘレンと飲めへん?ドキドキドイツナイト」も毎週土曜日20時に開催。WEBによるワイン情報の発信にも力を入れ、日本中をドイツワインの明るい情報でいっぱいにし、夢である「日本におけるドイツワインの再興」を成し遂げます。