ドイツワイン王子 山野高弘さんと歩くドイツワインの世界
マルティン・ヴァスマー
甘口ワインの印象が未だに根強いドイツワインですが、実際には赤・白を問わず多種多様なワインが数多く生み出されている世界でも有数のワイン産地です。冷涼な地域から生み出されるワインは伸びやかな酸が心地よく、キレがあり、どこかブルゴーニュワインを彷彿とさせる繊細で優雅な味わいは多くのワインラバーをから愛されています。
当連載は、そんなドイツワインの魅力をヘレンベルガー・ホーフ社の山野高弘さんと一緒に掘り下げていく特別企画です。注目を集める生産者に焦点を当て、その魅力をお伝えしていきます。
第3回目はマルティン・ヴァスマー。山野氏が訪れていた際のしずる感を含め掘り下げていきます。
マルティン・ヴァスマー醸造所とは
MARTIN WASSMER
ドイツというと日本の方にとっては何か北方の寒そうなイメージが結構強いのではないかと思います。気質としてもちょっと内向的な感じがしませんか?私も実際ドイツに訪れる前はそういう印象を持っていました。ところが私が訪れたドイツは全く真逆のもの。そう!私がドイツで滞在していたのはドイツの最南端バーデン地方。気候帯もフランスと同じ、非常に温暖なところで、住んでいる方もとても陽気な印象でした。私が住んでいた町フライブルクでは電車に乗るととなりのおばさんが必ず話しかけてくるぐらいのそれはそれは陽気で開放的な雰囲気。私のドイツ感は一新されました。
今回ご紹介するマルティン・ヴァスマー醸造所はそのバーデンの中でもさらに最北の栽培地域マークグレフラーランドに位置しています。ドイツのトスカーナとも称される、ドイツ、フランス、スイス3国の国境地帯。温暖な天候と黒い森の麓、自然に恵まれたすばらしい地域です。文化的にも3国が入り交じる非常にユニークな所です。 開放的な気質の方が多く、ワインも多く消費されます。彼らののどを潤すのは軽快な白ワイン用ぶどうであるグートエーデル種(シャスラー種)です。同じバーデンでももう少し北に位置するフーバーさんやカイザーシュトゥールの名立たる生産者が有名ではあります。ブルゴーニュでいうマコンのような旨安ワインで認知されていたマークグレーフラーラントですが、20世紀後半よりにわかに世界的な注目を集める産地となりました。その旗頭がこのマルティン・ヴァスマー醸造所です。
近代ドイツワインの牽引者
Representative of modern German wine
ドイツで有名な黒い森(シュヴァルツバルト)の麓の南西向きの斜面に優良な畑がたくさんあり、石灰岩、片麻岩など複雑な土壌形成をしています。水はけのよい斜面には夜には黒い森で蓄えられた冷気がおりてきますので、温暖なこの地であっても昼夜の寒暖差がしっかりと生まれ、ワインは肉厚ながらもエレガントさを失わないバランスのよい仕上がりとなります。
創業者のマルティン ヴァスマーさんは1961年生まれ。還暦を超えてなお意気軒高な彼は、ルドルフ・シュタイナー教育の地元小学校を卒業、一時は料理人を目指しましたが、21歳にして故郷バートクロツィンゲン村に戻ってきました。このバートクロツィンゲン村は温泉で有名なところで、同じ炭酸泉の出る大分県の竹田市と姉妹都市でもあります。両親が営むじゃがいもとトウモロコシの畑を引き継ぎましたが、進取の気性に富んだマルティンさんは、新しくホワイトアスパラの栽培も始めます。自分で栽培したホワイトアスパラと地元のワインを味わうたびに「何か違う」と感じ、もっとおいしいワインを自分で造ろう!と1997年に37歳にして醸造所設立を決意します。1998年にはブルゴーニュ、シャンボール・ミュジニィのアミオ・セルヴェルにて研修。
物静かで、いかにも南ドイツ・バーデン地方の農家の典型的な素朴なお人柄ですが、もっといいワインを造りたい!!という情熱はとどまるところを知らず、3ヘクタールでスタートした醸造所は今や35ヘクタールとなりました。南北30キロに渡って超優良区画を所有しています。これだけの広大なぶどう畑を所有しながら、いままでのアスパラ畑とイチゴ畑も所有しているヴァスマーさん。ワインに割安感があるのはこの多角経営によるところも大きいのかもしれません。
現在は娘のサブリナさんとの共同経営。フランス、ブルゴーニュ地方のあのメオ・カミュゼ醸造所にて研修を受けた彼女が醸造にも加わりますます評価のあがったヴァスマー醸造所。グランクリュから旨安ワインまで、幅広いラインナップで日本でもファンが拡大中です。
山野高弘さんおすすめワイン
Recommended by Yamano
バーデンの名手マルティンヴァスマーが手掛ける、まろやかさとキレを兼ね備えた上質な辛口白ワイン
WASSMER WEISSERBURGUNDER 2020 MARTIN WASSMER
ヴァスマー ヴァイサーブルグンダー 2020 マルティン・ヴァスマー
ヴァスマーさんの強みは南北にながいマークグレフラーランドにまたがる多くの村の優良区画を所有していることです。こちらのワインは、ヴァスマーさんの拠点であるバートクロツィンゲン村の周辺に位置するシュラット、ラウフェン、エーレンシュテッテン3村の優良区画をブレンドしたもの。若木と古木の両方を使用し、収穫畑別に醸造を行っています。ステンレスタンクで発酵後、酵母とともに長く寝かせてからブレンド。この品種らしいまろやかさと程よい苦みがありながらも、木樽を使用していない分フレッシュな切れ味もある上質な辛口です。
会員価格 3,658円(税込)
希望小売価格 円(税込)3,850
生産国 | ドイツ / バーデン |
ワインタイプ | 白ワイン |
ぶどう品種 | ヴァイサーブルグンダー(ピノ・ブラン) |
生産者 | マルティン・ヴァスマー |
圧倒的なコストパフォーマンスを誇る赤ワイン、ブルゴーニュ・ラヴァーにもおススメです!
MARKGRAFLERLAND SPATBURGUNDER 2020 MARTIN WASSMER
マルクグレーフラーラント シュペートブルグンダー 2020 マルティン・ヴァスマー
ヴァスマー醸造所=コスパ最強!というのがお客様にもずいぶん浸透してきたように感じています。ワインガイド「Vinum」にて最優秀コストパフォーマンス賞を受賞しているこのワインは、その象徴ともいえるでしょう。地域名を関したシュペートブルグンダーですが、みなさんがピノ・ノワールに求めるふくよかな果実味、エレガントな酸、贅沢な余韻、すべてがこの価格で楽しめます。マルティンさんありがとう!!
会員価格 4,076円(税込)
希望小売価格 4,290円(税込)
生産国 | ドイツ / バーデン |
ワインタイプ | 赤ワイン |
ぶどう品種 | シュペートブルグンダー |
生産者 | マルティン・ヴァスマー |
超優良区画から生み出されるマルティン・ヴァスマー渾身の赤ワイン
GLOTTERTHALER ROTER BUR SPATBURGUNDER [GC] 2018 MARTIN WASSMER
グロッターターラー ローター ブル シュペートブルグンダー GC 2018 マルティン・ヴァスマー
ドイツの黒い森は南北に非常に長く、南北に160キロにもわたって広がっています。そんな黒い森の麓にはよく畑があるのですが、こちらのローターブルはなんと黒い森の中に存在する畑。しかも森と言っても実は山岳地帯なので、この畑の標高は500m。ドイツで最も標高の高い畑の一つ。片麻岩という非常にユニークな土壌でもあり、寒暖差もものすごくある南向け斜面から収穫された、繊細ながらも一本太い芯の通った素晴らしい味わいのピノ・ノワールです。
会員価格 13,585円(税込)
希望小売価格 14,300円(税込)
生産国 | ドイツ / バーデン |
ワインタイプ | 赤ワイン |
ぶどう品種 | シュペートブルグンダー |
生産者 | マルティン・ヴァスマー |
これぞ究極のピノ・グリ!ゆっくりとお楽しみください!
ACHKERRER SCHLOSSBERG GRAUERBURGUNDER [GC] 2019 MARTIN WASSMER
アッカーラー シュロスベルク グラウアーブルグンダー GC 2019 マルティン・ヴァスマー
バーデンはピノ系の品種の栽培が盛んです。その中でもグラウアーブルグンダー(=ピノ・グリ)に関してはものすごいこだわりがあり、グランクリュ区画に植えられているものも多数存在します。その中においても「ピノ・グリの聖地」としてあがめられているのが、このアッカーレン村のシュロスベルクです。バーデンでは珍しい火山岩土壌であるこの地では非常にスパイシーな風味の効いた重厚なワインが生まれます。ヴァスマーさんはワインを独自の格付けで差別化していてこのGCというのはグランクリュの意。こちらのワインはその聖地のグランクリュ区画から収穫されたもので、まさに究極のグラウアーブルグンダーと言えます。どうぞゆっくりと時間をかけてお楽しみくださいませ。
会員価格 13,585円(税込)
希望小売価格 14,300円(税込)
生産国 | ドイツ / バーデン |
ワインタイプ | 白ワイン |
ぶどう品種 | グラウアーブルグンダー(ピノ・グリ) |
生産者 | マルティン・ヴァスマー |
山野高弘さんがおすすめする、マルティン・ヴァスマー
本記事でご案内中のマルティン・ヴァスマーは、YEBISU WINEMART ONLINEでお取り扱いしております。
ご興味がございましたら是非お試しください。
山野高弘 ヘレンベルガー・ホーフ代表取締役
Yamano Takahiro
ワインインポーター ヘレンベルガー・ホーフ(株) 代表取締役社長。2001年より2年間ドイツ バーデンのベルンハルト・フーバー醸造所にて研修。主に畑作業に従事。2003年より1年間ドイツ ラインガウ地域のゲオルグ・ブロイヤー醸造所にて研修。醸造行程の全てをその手で行う一方、醸造所の営業マンとしてドイツのホテル等にてプレゼンテーション。ヨーロッパ滞在中にはドイツのほぼ全生産地を渡りあるき、見分を広める。ドイツ以外のフランス、イタリア等、西ヨーロッパのワイナリーも積極的に訪門。2004年より帰国。主に東京にてドイツワインの新しいイメージ普及のため、様々なシーンでセミナー等を行う。
世界最優秀ソムリエでM.o.W.であるマルクス・デル・モネゴ氏や 来日中のドイツ醸造家の通訳を務める。現在も年に3回ほどはドイツを中心にヨーロッパを訪れ、最新情報を入手。世界的には現在非常に人気のあるドイツワイン。その新しいスタイルとイメージをどんどん日本に紹介していきたい!!その一心で毎日活動しています。
2019年に「ドイツワイン通信講座」出版。
2020年3月よりYoutube「ドイツワイン最高!」を火曜日金曜日17時配信。
インスタグラムによる生産者とのライブ「ヘレンと飲めへん?ドキドキドイツナイト」も毎週土曜日20時に開催。WEBによるワイン情報の発信にも力を入れ、日本中をドイツワインの明るい情報でいっぱいにし、夢である「日本におけるドイツワインの再興」を成し遂げます。