青山敦子さんと歩く
イングリッシュ・スパークリングワインの世界

ハンブルドン

昨今のイングリッシュ・スパークリングワインの躍進が著しい、世界でも有数のワイン消費国であるイギリス。本連載では英国スパークリング専門誌 “Glass of Bubbly”のライターの経験を経て、ギリシャワイン・オフィシャル・アンバサダーも務める青山敦子さんをお招きし、イギリスが誇るイングリッシュ・スパークリングワインの魅力を皆様にお伝えしていきます。

第2回目となる本記事では、シャンパーニュの天才醸造家・エルヴェ・ジェスタンの哲学が息づくハンブルドンを掘り下げていきます。

シャンパーニュの天才醸造家 エルヴェ・ジェスタンの
哲学が息づくイングリッシュ・スパークリング

Hambledon

ハンブルドンのワインを飲むと、ハンプシャーの南東向きのチョークの畑が蘇る。Sense of Place を何よりも⼤切にし、そのブドウの持つエネルギーを表現しようとするエルヴェ・ジェスタンの哲学がダイレクトに感じ取れるワインだ。

写真・文 青山敦子

造り手の想い

Thoughts of the winery

シャンパーニュと縁のあるワイナリー

ハンブルドンを語る上でエルヴェ・ジェスタンの存在は⽋かせないが、元来シャンパーニュとは縁のあるワイナリーである。ハンブルドン・ヴィンヤードは 1952 年に英国初の商業⽤ブドウ畑として設⽴され、オーナーのガイ・ソールズベリー・ジョーンズがウィンストン・チャーチルと深い親交にあったことから、ポルロジェから教えを乞うたという歴史を持つ。画期的に⾰新を遂げるのは、醸造学を学んだ現オーナーのイアンになり、エルヴェ・ジェスタンをヘッド・ワインメーカーとして迎えてからだ。

エルヴェ・ジェスタン

訪問した4⽉ 19 ⽇は丁度伝統⽅式で造られるスパークリングワインの肝ともいえる 2022年収穫のアッセンブラージュが決定したばかりだった。エルヴェ・ジェスタンは収穫時期やアッセンブラージュの時期にはハンブルドンを訪れ、ワインメーカーのフィリックスと、アソシエートのトバイアスに彼の経験を惜しみなく伝授する。トバイアスはモンペリエ⼤学で学び、ボルドーで修⾏中にエルヴェ・ジェスタンの息⼦との出会いによって導かれた。彼らにはエルヴェ・ジェスタンの哲学が踏襲されている。

テロワールを表現

ハンブルドンにとって、最も重要な要因とも⾔えるのがそのチョークの⼟壌だ。シャンパーニュのコート・ド・ブランと同様最も純度の⾼いチョーク⼟壌を享受している。南東向きのなだらかな斜⾯は、イギリス海峡に浮かぶワイト島に強⾵や⾬から守られ、⽣育期には穏やかな⽇照を⻑時間浴び、ブドウはゆっくりと熟す。⾮常に寒冷なイギリスにおいては、強⾵から保護された標⾼の低い⽇当たりのよい斜⾯のサイト・セレクションが重要だ。

その⼟壌から⽣まれたブドウを最⼤限に⽣かすために、できるだけ介⼊しないワイン造りが実践される。それを実現する第⼀歩はエルヴェ・ジェスタンの指南によって設計された完全なグラヴィティフローを導⼊したワイナリーだ。品種、区画別に収穫されたブドウは速やかに圧搾され、100 以上の様々な発酵槽でゆっくりと冬の間を享受しアッセンブラージュの時を待つ。

ハンブルドンでは、決して急がず、ゆるやかに発酵を進ませ、より豊かなテクスチャーをもったベースワインを造り上げる。そして、亜硫酸の添加はできるだけ控えられる。シャンパーニュより北に位置するイギリスでは、ブドウの酸度が極めて⾼い(ハンブルドンでは通常 pH3を切る)ので、亜硫酸を添加する必要性がそもそも少ない。わずか 10ppm のみを圧搾後、ティラージュの後とデゴルシュマンの時に添加される。

更なるこだわりは、ドサージュだ。⾼い酸味とバランスをとりつつも、ブドウ本来の味わいを表現するために、最⼩限にとどめる。現⾏のプルミエ・キュヴェに⾄っては 2.5g/ℓとかなり挑戦的な数字だ。

写真・文 青山敦子

更なる挑戦

New Challenge

ハンプシャーの地を⽣かしたスパークリグワインに拘るハンブルドンは、次なる挑戦を開始した。イギリス史上最も恵まれたヴィンテージとも⾔える 2018 年、コート・ド・ブラン同様の最も純度の⾼いチョーク⼟壌で素晴らしいシャルドネが実り、彼らは初めて、ブラン・ド・ブラン・プルミエ・キュヴェ・ヴィンテージ・スパークリングを瓶詰めした。

2018年に勝るも劣らずの優れたヴィンテージの 2022 年のリリースも決定した。2022 年ヴィンテージにはエルヴェ・ジェスタン主導で、100 以上のベースワインの中から最⾼の2つのステンレスタンク熟成と1つの古樽発酵のワインが厳選された。有難くもそれらのベースワインを試飲させて頂き、各々の個性の如実さに興奮した。樽発酵といっても7年使⽤の古樽なので樽の⾵味は主張していない。そして、その使⽤はほんのわずか、あくまでレイヤーを複雑にさせるエッセンス程度に抑えられる。決して味わいを圧倒してはいけない。彼らにとって何よりも⼤切なのは、ピュアな果実味の表現だ。ブドウの声を聞きながら、柔軟にその時々に最⾼のワインを造り上げる。ハンブルドン、ディテールに哲学を感じる、Sense of Place のワインだ。

写真・文 青山敦子

おすすめワイン

Recommended

あのエルヴェ・ジェスタンがコンサルを行うハンブルドン!
まずはこちらをお試しください!

CLASSIC CUVEE NV HAMBLEDON

クラシック・キュヴェ NV ハンブルドン

シャンパーニュに勝るとも劣らない高品質のスパークリングワインを生み出し、近年各方面から高い評価と注目を集めているイギリス。ハンブルドンはその中でも特に高く評価されている蔵元で、シャンパーニュにおける著名な醸造家のエルヴェ・ジェスタンがコンサルを行い、まさにシャンパーニュ顔負けの秀逸なスパークリングワインを生み出しています。 こちらは、シャルドネを主体にピノ・ノワールとムニエを用いて31ヵ月の瓶熟を施してリリースされるスタンダード・キュヴェ。ほんのりとトーストを思わせる香ばしさを帯びたレモンやリンゴを思わせる爽やかなアロマに、アロマ同様の爽やかで透明感のある果実味が直線的で上品な酸味とともに清々しく伸びる、秀逸な味わいが感じられます。

会員価格 6,166円(税込)

希望小売価格 7,150円(税込)

生産国イギリス
ワインタイプ発泡性(白)
ぶどう品種シャルドネ56%,ピノ・ノワール27%,ムニエ17%
生産者ハンブルドン

ハンブルドンはロゼも素晴らしい!
甘酸っぱい香味が優雅に広がります!

CLASSIC CUVÉE ROSÉ NV HAMBLEDON

クラシック・キュヴェ ロゼ NV ハンブルドン

シャンパーニュに勝るとも劣らない高品質のスパークリングワインを生み出し、近年各方面から高い評価と注目を集めているイギリス。ハンブルドンはその中でも特に高く評価されている蔵元で、シャンパーニュにおける著名な醸造家のエルヴェ・ジェスタンがコンサルを行い、まさにシャンパーニュ顔負けの秀逸なスパークリングワインを生み出しています。 このロゼはシャルドネを主体に10%のピノ・ノワールを用いて仕込んだもの。木蓮の花やイチゴのコンポートを思わせる甘やかさと、バタースコッチのような香ばしさが折り重なるアロマにが感じられ、口に含むとフランボワーズやイチゴ、クランベリーやレモンのようなキュッとしまりのある甘酸っぱい香味が優雅に広がっていきます。

会員価格 6,688円(税込)

希望小売価格 7,700円(税込)

生産国イギリス
ワインタイプ発泡性(ロゼ)
ぶどう品種シャルドネ90%,ピノ・ノワール10%
生産者ハンブルドン

シャンパーニュの上級クラスに勝るとも劣らないこの味わい!
もはや流石という他ありません!

PREMIÈRE CUVÉE NV HAMBLEDON

プルミエ・キュヴェ NV ハンブルドン

シャンパーニュに勝るとも劣らない高品質のスパークリングワインを生み出し、近年各方面から高い評価と注目を集めているイギリス。ハンブルドンはその中でも特に高く評価されている蔵元で、シャンパーニュにおける著名な醸造家のエルヴェ・ジェスタンがコンサルを行い、まさにシャンパーニュ顔負けの秀逸なスパークリングワインを生み出しています。 こちらは、シャルドネを主体にピノ・ノワールとムニエを加え、36ヵ月の瓶熟を施してリリースされる蔵元の上級キュヴェ。オレンジなどのフルーツ、ブリオッシュやヘーゼルナッツを思わせる香ばしさを感じる豊かなアロマが立ち昇り、シルキーなタッチから柑橘やドライアプリコットの香味と凝縮した旨味に厚みのある酸味が一体となって、爽やかさとボリューム感を兼ね備えた見事な味わいが広がります。長く続く余韻の中では、バニラやキャラメルを思わせる甘く香ばしいニュアンスをも感じさせるほどで、シャンパーニュの上級クラスに勝るとも劣らないと言っても過言ではないでしょう。

会員価格 8,569円(税込)

希望小売価格 9,900円(税込)

生産国イギリス
ワインタイプ発泡性(白)
ぶどう品種シャルドネ58%,ピノ・ノワール24%,ムニエ18%
生産者ハンブルドン

飲み手に大きな感動をもたらすイギリス・ロゼの最高峰

PREMIÈRE CUVÉE ROSÉ DOSAGE ZERO NV HAMBLEDON

プルミエ・キュヴェ ロゼ ドザージュ・ゼロ NV ハンブルドン

シャンパーニュに勝るとも劣らない高品質のスパークリングワインを生み出し、近年各方面から高い評価と注目を集めているイギリス。ハンブルドンはその中でも特に高く評価されている蔵元で、シャンパーニュにおける著名な醸造家のエルヴェ・ジェスタンがコンサルを行い、まさにシャンパーニュ顔負けの秀逸なスパークリングワインを生み出しています。 こちらはロゼの上級キュヴェにあたるもので、ノン・ドザージュで仕込んだもの。ムニエのみを用い、約5年もの瓶熟を施しています。グラスに注ぐと、フレッシュなクランベリーやフランボワーズ、トーストなどのニュアンスを感じるアロマが広がり、口に含むとノン・ドザージュとは思えないほどのボリューム感と果実の甘みが感じられ、そこに火打石を連想させるミネラルやピリッとしたスパイスのニュアンスが折り重なり、複雑で多層的な味わいをもたらします。シャンパーニュのグラン・メゾンが手掛けるプレステージ・ロゼと肩を並べるレベルにあるとさえ思える味わいで、飲み手に大きな感動をもたらしてくれる1本であると言えるでしょう。

会員価格 16,720円(税込)

希望小売価格 19,250円(税込)

生産国イギリス
ワインタイプ発泡性(ロゼ)
ぶどう品種ムニエ
生産者ハンブルドン

イギリスが⽣み出す最⾼品質のスパークリングワイン

本記事でご案内中のハンブルドンは、YEBISU WINEMART ONLINEでお取り扱いしております。
ご興味がございましたら是非お試しください。

青山敦子

Atsuko Aoyama

WSET®Level 4 Diploma
WSET®Certified Educator (Level1,2&3 公認認定講師)
WSET®Level 3 Sake
IWC インターナショナル・ワイン・チャレンジ・ロンドン Associate Judge
ギリシャワイン・オフィシャル・アンバサダー
2018年 Wines of Greece World of Greek Wine Program 最優秀賞
ギリシャワイン認定講師 (EDOAO)
German Wine Academy認定講師
J.S.A. 認定ワインエキスパート

2008年ロンドンでWSETに出会い、ロンドン本校にて、ディプロマコースを猛勉強の末1年半で取得後、WSETで試験採点官、英国スパークリング専門誌 “Glass of Bubbly”のライターの経験を経て2016年に帰国。

2018年 Wines of Greece 主催のWorld of Greek Wine Programで一位となり、現在ギリシャワイン・オフィシャル・アンバサダーとして、定期的にギリシャを訪問し、プロフェッショナル向け、そして愛好家向けにギリシャワイン・セミナーを行う。

その他、WSET講座、シャンパーニュ委員会講座、イングリッシュ・スパークリング講座など、幅広くワインの世界を伝える。