ペイル ローズ - PEYRE ROSE -

南仏で輝きを放つ
最高峰の女性生産者マルレーヌ・ソリア

南仏で高品質ワインを産み出したパイオニア
南仏での高品質なワイン造りではパイオニアとも言える蔵元ドメーヌ・ペイル・ローズは、
80年代後半に突如として世界に名を轟かせました。
以来女性醸造家として名実ともに世界のトップ生産者のひとりとなり、
多くの有名なトップクラスのワインと肩を並べるようになったマルレーヌ・ソリアさんは、御年74歳(2021年現在)。
しかしその輝かしい経歴とは裏腹に、そのワイン造りでは苦労に次ぐ苦労の連続だったようです。
ボート競技の選手でもあり、東京オリンピックにも参加したという夫と共に、
このサン・パゴワール村に家を購入したのが1973年です。
その際に付属として付いてきたのが広大な土地です。

ワインづくりを始めて10数年は殆ど売れず、苦労の日々が・・・

行政からこの土地での葡萄栽培を奨励され、まったくの素人だったマルレーヌさんは、その甘い言葉を信じ、右も左も分からないままに、助言通り葡萄栽培を行うことになりました。予想以上に過酷な畑造りや葡萄栽培に加え、協同組合にも属さない彼女は、近隣の生産者からも多くの意地悪を受けたそうです。
ワイン造りでは電車に備え付けられていたという大型の給水器を取り外したものを改造したタンクでの醸造を行い、これが蔵元のワイン造りの原点ともいうもので、ローズカラーにペインティングされたその古ぼけた250リットル程のタンクはつい数年前まで現役だったそうです。

その後どうにかこうにかワイン造りを継続したものの、ワインは殆ど売れないままに80年代まで続きます。全くの素人が人生も折り返し地点に差し掛かってから新たに醸造の勉強をしながら畑仕事とワイン造りを行い、ワイン販売も行いながら、10数年の売れない時代を経験しているというのには本当に驚きです。
そして80年代も終わろうとするころ、いろいろなラングドック地方のワインと共に、プロ向け試飲のサンプルとしてパリに送られたときに、ひとりのバイヤーの目に止まり、今あなたが所有している全てのワインを売って欲しいという電話一本により、いきなり仏国内にその名を轟かせることとなります。その後は日本にも紹介され、ラングドック地方でも最高クラスのワインとして確固たる地位を占めることとなりました。

人生の酸いも甘いも経験したからこその奥深きワイン

しかし、規模を拡大し、新たに増設したイタリア製コンクリートタンクに欠陥があり、1999年、2000年、2001年に生産された赤ワインの全てをダメにしてしまい、その間の生産はないという困難に見舞われます。その後2002年の生産からはなんとかまた軌道に乗って今のところ順調にワイン造りを行っています。
70歳を越えたマルレーヌ・ソリアには、養子となった息子もいるのですが、ラングドック地方の片田舎の更に舗装もされていない畑の奥地に構える家ですから、田舎暮らしを嫌って、都会に暮らしをしているため、現在のところ後継ぎが居らず、今後の蔵元の動向が気になるところなのですが、本人は逆向が今までも自身を奮い立たせてきたと言い、元気にまだまだワイン造りを続けると語っています。
そんな彼女のワインは美味しさと共に、その人生の酸いも甘いも経験した人柄が感じられるような奥深い味わいでもあります。そんな彼女に思いをはせながら味わってみるのも一興です。