ドイツワイン王子 山野高弘さんと歩くドイツワインの世界

ラッツェンベルガー

今回特集するラッツェンベルガーさんの醸造所があるのはミッテルライン地域です。2002年にユネスコ世界遺産に登録されている風光明媚な地域で、13地域の中でも最もドイツらしい光景が広がっています。ライン沿い、110キロにわたり、60以上の古城があり、訪れるものを魅了します。フランクフルトから電車で約1時間。もしくは途中にあるラインガウ地域のリューデスハイムから有名なライン下りの船に乗ればその絶景を満喫できます。

産地として有名なモーゼルとラインガウの中間にあるミッテルライン地域は、ワインの味わいもモーゼルの繊細さとラインガウの力強さを併せ持ついいとこどりの産地と言われています。驚くほどの急斜面の畑にはモーゼル地域同様、粘板岩がびっしりと敷き詰められています。

ラッツェンベルガー醸造所とは

Ratzenberger

Weinberge am Mittelrhein, Bacharach

ラッツェンベルガーさんが畑を所有しているのはバッハラッハ村。この村の歴史は非常に古くケルト時代にさかのぼります。ローマやスウェーデンのバイキングの侵攻も受けた土地でした。現在のエチケットの背景には、このスウェーデンのバイキングたちが侵攻している様子が描かれています。中世にはライン川は通商の大動脈と言える存在でした。特にこのバッハラッハ村は重要で、イギリスなどの海外に向かうワインのほとんどがこの村の検印を押されたため、村の知名度はドイツ随一のものでした。

Bacharach, Burg Stahleck

そのバッハラッハ村の一番西側から最も標高の高い、ザンクト・ヨースト、ヴォルフスヘーレ、ポステンと3つの畑が渓谷に広がっています。バッハラッハ村のテロワールの特異なところは、山脈が欄側に沿って直角に連なっているために南側にはまた別の山がそびえているところ。そのために前の山が日陰を作ります。通常こういった北の産地の畑は標高の低い温暖な土地がよいとされていますが、この地では一番下の畑は日陰となるために畑の中腹がよいとされています。そのためより寒暖差がはっきりと表れ、ぶどうの収穫を遅らせます。北の産地で軽やかな切れ味がありながら、贅沢な余韻と凝縮感に満ちた味わいとなるのはこの独特の地勢によるものです。

熟成に適した天然の地下セラー

Natural Cellar

ラッツェンベルガーさんのすごいところは醸造所の真裏にある畑ザンクト・ヨーストの真下に天然のセラーを持つこと。1年を通じて粘板岩に囲まれた定温セラーは空調をする必要がなく、ワインが実に長い時間かけられて発酵、熟成をしていきます。発酵は通常2週間ほどで終わるものですが、こちらの醸造所では年を越して春まで続くこともまれではありません。ワインの余韻に感じる非常にクリーミーな風味は、この酵母とともに定温で長く寝かされるところからくる贅沢な複雑味です。

醸造所は、長期宿泊用の施設も併設されたおり、風光明媚な土地とあいまってゆったりとした時間が流れる本当に素敵な空間です。ドイツへ訪れた際はぜひこのバッハラッハ村をおたずねください。

山野高弘さんおすすめワイン

Recommended by Yamano

ラッツェンベルガーの特色をよく表現したエントリーワイン
ほどよい甘みとクリーミーなリースリングに癒されます

BACHARACHER RIESLING KABINETT FEINHERB 2021 RATZENBERGER

バッハラッハー リースリング カビネット ファインヘルプ 2021 ラッツェンベルガー

ライン川から最も離れた畑、ザンクト・ヨーストを中心に造られたラッツェンベルガーさんの定番中の定番ワイン。標高も300Mと高く、寒暖差も豊富なことから非常に硬質な酸が感じられますが、こちらのワインのちょうどほどよい甘みとのバランスが最高です。さらには地下セラーで年を超えてもずっと酵母とともに定温で寝かされていることから、独特のクリーミーなトーンも加わり、このワインに一層の彩りを加えています。 だし系のお鍋、酢の物、チキンのソテーにレモンを絞ったりと素材の味わいを生かしたお料理にも最適です。ぜひ冬の味覚に幅広く合わせてみてください。

会員価格 3,344円(税込)

希望小売価格 3,520円(税込)

生産国ドイツ / ミッテルライン
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ラッツェンベルガー

甘みとミネラルの絶妙なバランス、スケール感のある贅沢な味わいが楽しめます

BACHARACHER WOLFSHOHLE RIESLING SPATLESE 2015 RATZENBERGER

バッハラッハー ヴォルフスヘーレ リースリング シュペートレーゼ 2015 ラッツェンベルガー

前述のザンクト・ヨーストよりもライン川に近く、粘板岩が風化しており、重たい土壌であるヴォルフスヘーレ。より強く果実の風味が前面に出てきます。ヨハンさんのお父さん、同じくヨハン・ラッツェンベルガーさん曰く、「ザンクト・ヨーストは4重奏、ヴォルフスヘーレはオーケストラ」と言われる通り、壮大なスケール感のある贅沢な味わいが楽しめます。甘みはかなり強い方なのですが、この地独特の酸味がしっかりとバランスを取り、決してしつこくない均整のとれた味わい。ブルーチーズや食後にもよいですが、ぶりの照り焼きやぶたの角煮など味付けのしっかりとした煮込みとの相性も抜群です。

会員価格 5,225円(税込)

希望小売価格 5,500円(税込)

生産国ドイツ / ミッテルライン
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ラッツェンベルガー

冷涼区画で育まれた長期熟成にも耐えうるリースリング

STEEGER ST.JOST RIESLING G.G. 2018 RATZENBERGER

シュティーガー ザンクト・ヨースト リースリング G.G. 2018 ラッツェンベルガー

ライン川から最も離れた標高の高い冷涼区画、ザンクト・ヨーストのグランクリュ区画のリースリングを使用したワイン。押しも押されもしないラッツェンベルガーさんの代表作です。醸造所の真上に位置するこの畑は樹齢も50年超。驚くほどの急斜面に地下10m以上に根を張り巡らしたリースリングはこの4億年前のデボン紀の粘板岩土壌から様々な要素を吸い上げていることでしょう。10年どころか20年、30年と長期熟成も楽しめます。ラッツェンベルガーさんのところでは少し熟成させたこのワインを鹿肉などのジビエに合わせて楽しんでおられました。日本でも気軽に鴨の鍋とかローストで楽しんでいただけます。

会員価格 8,360円(税込)

希望小売価格 8,800円(税込)

生産国ドイツ / ミッテルライン
ワインタイプ白ワイン
ぶどう品種リースリング
生産者ラッツェンベルガー

山野高弘さんがおすすめする、ラッツェンベルガー

本記事でご案内中のラッツェンベルガーは、YEBISU WINEMART ONLINEでお取り扱いしております。
ご興味がございましたら是非お試しください。

山野高弘 ヘレンベルガー・ホーフ代表取締役

Yamano Takahiro

ワインインポーター ヘレンベルガー・ホーフ(株) 代表取締役社長。2001年より2年間ドイツ バーデンのベルンハルト・フーバー醸造所にて研修。主に畑作業に従事。2003年より1年間ドイツ ラインガウ地域のゲオルグ・ブロイヤー醸造所にて研修。醸造行程の全てをその手で行う一方、醸造所の営業マンとしてドイツのホテル等にてプレゼンテーション。ヨーロッパ滞在中にはドイツのほぼ全生産地を渡りあるき、見分を広める。ドイツ以外のフランス、イタリア等、西ヨーロッパのワイナリーも積極的に訪門。2004年より帰国。主に東京にてドイツワインの新しいイメージ普及のため、様々なシーンでセミナー等を行う。

世界最優秀ソムリエでM.o.W.であるマルクス・デル・モネゴ氏や 来日中のドイツ醸造家の通訳を務める。現在も年に3回ほどはドイツを中心にヨーロッパを訪れ、最新情報を入手。世界的には現在非常に人気のあるドイツワイン。その新しいスタイルとイメージをどんどん日本に紹介していきたい!!その一心で毎日活動しています。

2019年に「ドイツワイン通信講座」出版。
2020年3月よりYoutube「ドイツワイン最高!」を火曜日金曜日17時配信。
インスタグラムによる生産者とのライブ「ヘレンと飲めへん?ドキドキドイツナイト」も毎週土曜日20時に開催。WEBによるワイン情報の発信にも力を入れ、日本中をドイツワインの明るい情報でいっぱいにし、夢である「日本におけるドイツワインの再興」を成し遂げます。